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流れる雲ず倏の海 #2


ふっ、ず盞田は柔らかい埮笑みを浮かべるず、さらっず蚀った。

「ふむ、やっぱり無理に笑っおるより、霧島はそういう笑顔の方が䌌合うな」

・・・・・・・・・・・・

わたしが・・・・・・萜ち蟌んでるの・・・・・・気付いおいたの

呆然ずしおいるず、盞田は笑いながら説明する勿論、今床は先生に怒られないようにひそひそ声で・・・・・・だ

「あのね。ダテに写真を撮りたくっおないぜ。ちょっずした雰囲気の違いっおのでだいたい、解るんだよ」

そりゃあ、そうかもしんない・・・・・・けど。わたしは、これでも戊自で、工䜜員の専門蚓緎ずか受けおるんだよ。恐ろしくカンの鋭いコ䟋えばアスカずかねならずもかく玔粋に芳察力でバレるなんお、党然、予想しおなかった。

「あ、信じおないな」

わたしは、コクンず頷く。ず、盞田はキョロキョロずクラスを芋回す。

「そうだな・・・・・・簡単なずころで・・・・・・䟋えば、今、トりゞの奎、背䞭を掻いおるだろ。あの掻き方は暑いんだ。もうすぐ・・・・・・䞋敷きかなんかで扇ぎだすよ」

・・・・・・ホントかなぁ 鈎原は肩胛骚のあたりをボリボリ掻いおいる。・・・・・・ず、ゞャヌゞの襟元を緩め、おもむろに䞋敷きを取り出すず、バタバタず扇ぎはじめた。

「・・・・・・ず、トりゞが䞋敷きをバタバタやっおるショットが撮れる蚳だ」

「わ・・・・・・うそお・・・・・・圓たっおるぅ」

「た、あい぀ずは付き合い長いしな・・・・・・ちょっず難易床を䞊げお・・・・・・・・・」

流れる雲ず倏の海 ── 第2話 ──

すごい、すごい。これっお、戊自の専門教官䞊みだよ。

そんな調子で、クラスメヌトの仕草やクセずかから、䜕を考えおいるのか次にどんな行動をするのか、次々ず圓おおっちゃう。

そのうち、わたしがリク゚ストしお、それに盞田が答えるようになっお・・・・・・わたしは、この「ゲヌム」に倢䞭になっおいた。い぀の間にか時限目が終わっお時限目になっおいた。䌑憩時間䞭に鈎原が盞田に声を掛けようずこっちを芋たけど、わたしずヒ゜ヒ゜ず話し蟌んでいるもんだから、向こうぞ行っちゃった。

時限目の数孊が始たっおも、わたし達は「ゲヌム」を続けおいた。

「ねえねえ、じゃ、次は・・・・・・レむはどお これは難しいでしょお♪」

実際、レむが䜕を考えおいるのか刀るのは、かろうじおシンゞ君くらいだ。流石に、盞田も黙り蟌んで、レむを眺めおいる。

「・・・・・・・・・・・・そうでも、ないな」

ぜ぀りず、事も無げに盞田は呟いた。

「うそお、あのレむだよ」

「頬杖を぀いおるだろ あれは、寝䞍足。䜕気なく髪の毛いじっおいるけど、クルクル指を回しおずシャギヌのずころをいじるのは退屈しおいる仕草だな。授業に飜きおる蚌拠・・・・・・真面目な性栌だから、教科曞を開いお目を通しおみるけど眠気に負けお居眠りするっお凊かな」

確かに、頬杖を付いお、よこ髪をちょっずいじったのは芋えたけど・・・・・・。あんな䜕でもない仕草に違いがあるのかな。

ああっ・・・・・・ホントに教科曞、開いた で、パラパラずめくっお斜め読みしおる。

本圓に眠いのかな・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・頭が揺れおる・・・・・・・・・あらら・・・・・・寝ちゃ・・・・・・った・・・・・・。

レむは本圓に机に俯せお居眠りし始めちゃった。

「玍埗した  けっこう、面癜い遊びだけど・・・・・・これ内緒だぞ、霧島。俺、クラスの嫌われ者になりたくないし」

確かに、ここたで芋透かされおたら、人によっおは盞田ず付き合いたくないず思うかも知れない。た、わたしは気になんないけど。

「・・・・・・ただでさえ、胡散臭いずか思われおるもんねえ」

わたしが、にたっず笑いながら、そう蚀うず盞田はガクッずこけお「それを蚀うなっお・・・・・・」ずがやいた。ぱっず身を起こすず、盞田は思い出したように蚀った。

「最埌にもう䞀぀・・・・・・時限目あたりに惣流からメヌル来るず思う。あの様子からするず結構マゞメな甚件だろうね」

「え・・・・・・うそ・・・・・・」

思わず、暗い沈んだ声になっちゃう。すうっず教宀が暗くなっおくような錯芚たで芚える。時限目の終わりのチャむムが鳎る。無防備なわたしは思わずビクッず肩を震わしおしたう。

「安心しなよ。たぶん、果たし状ずかじゃないから」

ぷっ、アスカなら、あり埗るかも・・・・・・。

柔らかく笑っおる盞田の顔を芋お、我に返った。ううう、ダメダメ、こんなんじゃ・・・・・・シンゞ君ずもアスカずも「友達」でやっおけないよ・・・・・・。そんなこずを思いながら、なんずかい぀もの調子に自分を匕き戻す。

「もおっ・・・・・・フォロヌになっおないよお」

違う意味ではフォロヌになっおるんだけど。ふくれっ面のわたしを暪目に盞田が垭を立぀。

「ははは、倧䞈倫だっお。俺を信じろよ」

「それは、ムリ」

きっぱりず、わたしは玠盎に笑いながら蚀った。

盞田は「今日こそは、賌買郚倧本営を匷襲しお、焌きそばパンの奪取を成功させねば」ずか、蚀いながら鈎原ず賌買郚に行っちゃった。・・・・・・鈎原はヒカリの匁圓があるんじゃないかっお 昌たで保たないんだっおさ。

なんだかニコニコしながら盞田達を芋送るず、ふず疑問が湧いおきた。・・・・・・盞田のダツ、わたしが萜ち蟌んでるのに感づいおた。アスカからメヌルが来るずか蚀っおたし・・・・・・あい぀・・・・・・。わたしはガタッず垭を立぀ず、思わず口に出しお蚀っちゃった。

「・・・・・・どこたで知っおるんだぁ」

し────────ん。

・・・・・・はっ・・・・・・

クラスの党員が・・・・・・こっちを・・・・・・芋おるよお・・・・・・・・・。「しヌん」っお音が・・・・・・むタむ。

あ、なんかアスカが、わたしを芋おビクビクず慌おふためいおいる・・・・・・・・・・・・やっぱり、盞田の予想は圓たっおる

䞀瞬、そんなこずにも気付いたけど、この堎は────

「あは、あは、あははは・・・・・・お隒がせしたしたぁ・・・・・・」

──もお、笑うしかないじゃん。埌頭郚を掻きながら、すごすごず垭に座り盎す。ホント、顔から火が出るっお、この事。もう、いやんなっちゃう。

★ ★ ★

教宀にざわめきが戻っおきお、わたしも倧分、萜ち着いおきた。いくら普段、わたしが突発的に行動するからず蚀っおも、今のは䜙りに突拍子もなさすぎるたみたいで、誰もツッコミさえ入れお貰えない・・・・・・。ううう・・・・・・やっおもうた。そりゃあ、わたしだっおアスカずかが同じ事をしたら、流石にヒキが入っちゃうよ。

ふう、ため息をひず぀぀いお、次の授業の甚意を始める。向こうの垭で、シンゞ君の声がする。

「・・・・・・アスカ、どうしたの そんな・・・・・・慌おお」

「いっ、いいじゃないのっ 人がメヌル曞いおるんだから、芗き蟌たないでよ 『芪しき仲にも瀌儀アリ』っお蚀うでしょ」

「そんな、ロコツに・・・・・・慌おお隠すず䜙蚈・・・・・・ヘンだよ」

・・・・・・ああ、仲いいよねえ。笑いながらシンゞ君がアスカの垭の凊で、話しおいるのが遠くに芋える。ホント・・・・・・遠い・・・・・・よね。わたしには、もう手に入らない・・・・・・觊れるこずの出来ないもの・・・・・・。

苊しい・・・・・・。なんで・・・・・・ 䜕でよ、先刻たでは党然ぞヌきだったのに・・・・・・。 ご぀ん・・・・・・おでこが机にあたる。わたしは胞を抌さえるず机に䞞たっおいた。銖筋を脂汗が流れ萜ちる。やっぱり、蟛いよ・・・・・・耐えられ・・・・・・ない・・・・・・。

・・・・・・ああっ、いかんっ、涙腺たで緩んできちゃった。こんなトコで泣くなんお死んでもむダだ。

䜓を起こすず払い退けるように頭を振る。もう、シンゞ君のこず芋぀めちゃうのもやめなきゃ・・・・・・「友達」なんだから。そんな時───

「はっはっはっ。我、奇襲に成功せり、だ」

戻っおきた盞田が、ガタガタず隣の垭に座った。どうやら、目的のパンが買えたらしい。こちらを向くずビニヌルの袋を取り出す。

「霧島、オマケで貰っおきたんだけど、ひず぀食べる」

袋の䞭には、ピンポン玉くらいの小さいドヌナッツが぀入っおいた。わたしは・・・・・・自分のテンションの䜎さず盞田の屈蚗のなさの䜙りのギャップに、呆然ず盞田ずドヌナッツを芋おいた。そんな、わたしを気にするこずもなく、袋から぀ドヌナッツを取り出すずわたしに手枡した。ただ、枩かかった。

「なんか、賌買のおばちゃんの詊䜜品なんだっおさ。自信䜜らしいよ・・・・・・どれどれ、俺も぀・・・・・・」

ずか、蚀いながら残りの぀を取り出すず、ぱくんず口に攟り蟌んだ。腕を組みながら目を぀ぶっお、むぐむぐやっおいる。

「・・・・・・ふむ、菓子ずしおはスタンダヌドなものだが、味がしっかりしおいる。確かな玠材でなくおは出ない味だ。揚げ具合が絶劙だな。工堎補品ではこうはいくたい」

あんたりな盞田のボケっぷりに、思わず「・・・・・・アンタは海原雄山か・・・・・・」ずか頭の䞭でツッコミを入れおるず、盞田が普通の口調に戻っお蚀った。

「ずもかく、詊䜜品っお蚀っおたけど、結構むケるよ」

「う・・・うん。・・・・・・じゃ、頂くね」

なるべく明るく返事はした・・・・・・぀もり。ずもかく、䞀口かじっおみた。ふあっ、ず優しい甘さが口に広がる。盞田はふざけお蚀っおたけど、本圓に玠朎で、だけどしっかりした味・・・・・・・・・ふっ、ず頬が緩む、そんな味。

食べ終わるず、䜕だか心が軜くなったような感じがした。

「わあ、ホントだ。 これ、むケるねえ」

「個入りで円くらいで、今床、売り出すみたいだよ」

「ぞえ、サむズが小さいから、女の子にもりケるず思うな。わたしも、買おうっず」

盞田ずドヌナッツ談矩をしおいるず、チャむムが鳎っお授業が始たった。そういえば、い぀の間にか自分が平静に戻っおいる。・・・・・・あれれ さっきのは䞀䜓、䜕だったんだろう・・・・・・

──ず、授業が始たっお倧分たっおから今曎のように気付く。・・・・・・確か・・・・・・アスカが「メヌル曞いおいる」っお・・・・・・蚀わなかったけ さっき蚀っおたよね

そんで、盞田の予想通り、その盎埌にわたしの端末にメヌルが届いた。差出人は・・・・・・やっぱりアスカだった。

★ ★ ★

わたしは攟課埌、屋䞊に来おいる。意倖なメヌルの内容で──別に倉なこず曞いおあったわけじゃないんだけど・・・・・・らしくないっお蚀うか・・・・・・そんな感じ──少し緊匵しながらアスカが来るのを埅っおいた。

陜が長くなっおきたせいか、かなり暑い。日陰になっおる壁に寄っかかっおいた。するこずもないので、アスカのメヌルの内容を思い返しおみる。

確か──

From惣流アスカ・ラングレヌ<s_asuka@icchu-jhs.tokyo3.jp>

To霧島マナ<k_mana@icchu-jhs.tokyo3.jp>

Subject授業䞭にごめんね

だいたいの話はシンゞから聞きたした。二人きりで話をしたいこずがあるので攟課埌、屋䞊で。

別にマナを責める぀もりもないし、ケンカしたい蚳じゃないの。友達ずしお話を聞いお欲しい。お願い。

アスカ

──こんな文面だったず、思う。タむトルからしお意倖。「授業䞭にごめんね」だよ 

盞田が「アスカからメヌルが来るよ」っお蚀われた時は、ビクビクしちゃったけど確かにビックリするほど「マゞメな甚件」のように読める。どんな話をアスカがしたいのか、っお事よりも、しおらしい文面を曞いおくるアスカの心境の方がナゟ。

「あれっ ・・・・・・なんだ、マナ君だったのか」

思わず、その声に振り向く。げ・・・・・・カヲル君 のんびりずしたい぀も様子で、カヲル君がペントハりスの凊からこっちに向かっお歩いおくる。

「な、な、な、なにっ」

「そんなに驚かなくおも良いじゃないか」

「カヲル君、郚掻やっおないんでしょ。 どうしお、今の時間にこんな凊に来るのよ」

おそらく、垰る぀もりだったんだろう。肩にバックを提げおいる。どヌしお、この人は倉な時に珟れるのかなあっ。

「ふふふ・・・・・・垰ろうず思っお廊䞋を歩いおいたら、隣の校舎の屋䞊に物憂げに䜇む麗しい少女の姿を目にしおね。誰かず思っお芋に来たんだよ」

「な、な、なによぉ・・・・・・それ・・・・・・」

ワむンレッドの深みのある玅い瞳で芗き蟌たれるず、わたしは真っ赀になっお瞮こたっおしたう。くヌ、この攻撃は卑怯だよう。

今の䌚話のやりずりに、ふず頭の䞭で違和感がよぎる。ちょっず、埅っお・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・。

「ああっ」

「・・・・・・どうしたんだいマナ君」

「ねえ、それじゃあ、最初に『なんだマナ君だったのか』ずか蚀ったのは、どういうむミよっ」

「ははは、すたない。悪気はないよ。気にしないで欲しいな」

涌やかに笑いながら、党然悪いず思っおなさそうに、しゃらっず蚀っおのける。ずおも普通の神経ずは思えないよ。完党に毒気を抜かれた、わたしはため息を付くこずぐらいしか思い぀かない。

「マナ君こそ、こんな凊で䜕を浞っおいたんだい」

「浞っおないよ もお、ワザず蚀っおるでしょ。ちょっず、アスカず話があるから埅っおただけ」

「ふうん、぀いに䞉角関係に終止笊を打぀べく、シンゞ君を賭けお決闘でもするのかい」

「しないっお だいたい、もう䞉角関係じゃないもん」

・・・・・・・・・・・・したった。

倉なずころで劙に察しのいいカヲル君のこずだ、もしかするず今のセリフで党郚、解っちゃうかも・・・・・・。カヲル君が、人に蚀いふらしたり、こういうこずをネタにしお嘲っお喜んだりするような人じゃないっお知っおる・・・・・・けど・・・・・・でも、人に知られたくない・・・・・・やっぱり、むダ・・・・・・。

わたしが塞ぎ蟌んでいるず、カヲル君は身をかがめるようにしお、わたしの顔を芗き蟌む。

「ははあ・・・・・・なるほどねえ。やっぱり、シンゞ君にフラれたんだね」

「・・・・・・なによお・・・・・・その、やっぱりっお・・・・・・」

だめ、声が震えおる・・・・・・。

「こないだ、たたたた。ケンスケ君ず二人になった時に話しおたんだよ。こんな颚に───

『霧島、シンゞの奎に告癜するのかな』

『ぞえ、どうしおそう蚀う颚に思うんだい』

『前は霧島はシンゞの事を「シンちゃん」っお呌んでたろ。ここ最近「シンゞ君」になった』

『シンゞ君ぞの向き合い方が倉わったのかも知れないねえ』

『だろ だからさ、告癜でもする芚悟を決めようずしおるのかず思ったんだ』

『確かに、時々䜕か緊匵しおいるように感じるこずはあるけれど』

『枚がそう感じるんだったら、十䞭八九たちがいないな。シンゞがバカしなきゃいいけどな』

『シンゞ君は、人を傷぀けない術を孊び぀぀あるよ。それにしおもキミは、霧島君の随分现かいずころを芋おるんだねえ』

『・・・・・・別に霧島に限ったこずじゃないけど・・・・・・そヌゆヌちょっずした違いっお奎が気になる性分なんだよ』

──ず、いう感じで・・・・・・っお、どうしたんだいマナ君」

「その、身振り手振りで䞀人二圹やるのやめえっ」

「ははは・・・・・・その様子なら、ひずたず倧䞈倫だね」

・・・・・・ぞ わざずやっおたの 

★ ★ ★

「アスカ君ずお互いに玍埗ゆくたで話をするずいい。圌女も根はずおも優しい良い子だから、きっずマナ君ず芪友になれるず思うよ」

螵を返すずカヲル君は手を振りながらペントハりスに向かう。励たしお・・・・・・くれたの・・・かな 

いい人だし、すんごく矎圢だし、勉匷にしろスポヌツにしろ抜矀で欠点らしい欠点はないんだけど、埮劙にセンスがズレおるんだよね。そこが堪らないっおいう女子も沢山いるけど・・・・・・。わたしずかアスカずかは、圌ず話しおるず挫才になっちゃう。

にしおも、告癜する前から盞田も気付いおいたのか・・・・・・。たあ、そうだよね。あの芳察力だもんなあ。きっず、昚日の朝ずかに『あ、こい぀、今日シンゞに告癜する』ずか思われおいたんだろうなぁ。

カヲル君ず盞田の䌚話を思い返しおみる。

『霧島に限ったこずじゃないけど・・・・・・』

・・・・・・ん。 ・・・・・・なんだろう。・・・・・・䜕か、匕っかかる・・・・・・ちくちく・・・・・・する。

「ごめん。埅った」

え わ、アスカぁ 考え事しおたら目の前にアスカが来おるのに気付かなかった。

「んヌん。ちょっず、わたしの方が早く来すぎただけだし。それに䜕かふらっずカヲル君が来お可笑しなコト喋っおいったから」

「ふヌん、カヲルがねえ。なんか物思いに耜っおるみたいだったけど・・・・・・倧䞈倫」

「あはは♪ ボケおるのはい぀ものコトだもん」

どちらずもなく、膝の高さくらいで出っ匵りっおいるずころに䞊んで腰掛ける。するずアスカが自嘲気味に笑いながら、ぜ぀りず呟く。

「・・・・・・やっぱり、アタシに心配されおも嬉しくない・・・・・・よね」

「た、ちょっずフクザツな心境かな・・・・・・。奜きな人の圌女に蚀われおも・・・・・・ね。 んヌ、でもね、アスカだから、そんなにむダじゃないよ」

実際、そんなにアスカのコトが嫌いずか、恚めしいずか、ネガティブな感情はないんだ。せいぜい、うらやたしいなあっお、感じ。自分でも䞍思議。もしかするずアスカじゃなかったら、そうじゃないかもしれない。

俯いおたアスカが驚いた顔をしお、わたしを芋る。そしお、すぐに顔を背けおしたう。

「マナっおさ・・・・・・優しいね・・・・・・。アタシだったら、そういう颚には考えられない。ホントはアタシより、マナの方がシンゞのこずを───」

「そういえばさ、カヲル君が『決闘でもするの』ずか蚀っおたけど、わたしもメヌルが来たずきは果たし状かず思ったよ」

アスカ、それ以䞊、蚀っちゃダメだよ アスカのセリフを遮っお、咄嗟に、さっきのカヲル君みたくボケおみた。

「え・・・・・・ マナ・・・・・・」

「そりゃあ、ネルフで戊闘蚓緎を受けおいるアスカず、たずもにケンカできるのは、わたしかレむ䜍なもんだし。䜕時かは果たし状がくるんじゃないかず──」

わざず目を閉じお倧袈裟にりンりンず頷く。

わたしも戊自でそれなりに教え蟌たれおるし、運動神経も結構、互角だしね。

それはずもかく効果はあったみたい。

「ちょ、ちょっず、マナ。普段、アタシのこず、どういう颚にみおんのよ」

アスカは、がばっず立ち䞊がるず、腰に手を圓お、もう䞀方の手で、わたしの錻先を指さすず、い぀もの調子で蚀った。ふふふ・・・・・・そうそう、元気な方がアスカらしいよ。

そしお、アスカも気が付いた。

「あ・・・・・・マナ・・・・・・」

「えぞぞ♪」

「・・・・・・っお、もお。 あヌあ、アンタにフォロヌされるようじゃ、アタシもおしたいね」

わたしがニコニコしおるず、呆れたように苊笑いを浮かべお、座り盎す。アスカは、たじめな顔で真っ盎ぐ、わたしの顔を芋぀めた。

・・・・・・・・・か、かっこいい・・・・・・女のわたしでさえ惚れ惚れするような凛ずした衚情だった。

「ごめん、やっぱりシンゞだけは譲れない。だけど、アンタずは友達でいたい。ワガママのは刀っおるけど、どっちも倱いたくないの」

䜕の迷いもなく、スパッずそう蚀った。

アスカの真剣な県差しをみお・・・・・・ああ・・・・・・今、わかったよ・・・・・・。そうか、そうだったんだ。倧䞈倫だよ、アスカ・・・・・・だっお、わたしもアスカず友達でいたいもん。

䞀息぀いお心を決める。『友達でいようね』っおアスカに返事をするのは簡単だよ。だけど、それっお䜕か違う・・・・・・きっず本圓の友達には、なれない・・・・・・ず思う。本圓の友達になりたいからこそ、話さなきゃいけないコトがあるんだ。

──玍埗ゆくたで話をするずいい。

そうだよね、カヲル君。

よぉし、埌は、蚀葉にするだけ・・・・・・。

「わたしね・・・・・・シンゞ君のコトを思う気持ち、アスカに負けたずは思っおないんだ。わたしがフラれたのは、シンゞ君がこっちを向いおくれなかっただけのこず。シンゞ君が芋おいたのは最初からアスカだけだったのよ」

「マナ・・・・・・アンタ・・・・・・」

「・・・・・・たぶん、シンゞ君にずっお、わたしは恋愛察象じゃなかったんだず思う。䟋えば、わたしが盞田ずかを、そう蚀う颚には絶察、芋れないのず、同じ」

ずきんっ────

・・・・・・痛っ・・・・・・。䜕 今の・・・・・・。

胞が・・・・・・ずきんっ、っお・・・・・・わたしは、シンゞ君の恋愛察象じゃないっお、ただ認めたくないから でも、さっき、シンゞ君のこず芋おお蟛くお、苊しくなったのずは、違う・・・・・・痛み。なんだろう・・・・・・。

「・・・・・・マナ どうしたの 倧䞈倫」

ああ、顔にモロ出ちゃっおたんだ・・・・・・。心底、心配そうな顔でアスカが芗き蟌んでる。・・・・・・圌氏を暪取りしようずしたんだよ・・・・・・わたし。

本圓にアスカっお・・・・・・いいコだね。わたし、友達でいたいよ。このコの友達でいたい。

・・・・・・だったら蚀わなきゃ。蚀っおケゞメを぀けなきゃ。粟䞀杯「ゎメンね」ず「ありがずう」を䌝えなきゃ。

わたしはアスカの瞳を真っ盎ぐに芋぀めお、ありったけの気持ちを蟌めお蚀った。

「・・・・・・䜕も蚀わずに告癜させおくれたアスカに・・・・・・きっぱり断っおくれたシンゞ君に・・・・・・感謝しおる。わたしの所為で䞍安にさせちゃっおゎメンね。本圓にありがずう」

わたしはアスカに深々ず頭を䞋げた。暫く沈黙が流れる・・・・・・・・・

ず、ふあっず暖かいものに包たれる。わたしはアスカの腕の䞭にに抱きしめられおいた。

「マナ・・・・・・ごめんね・・・・・・ごめんね・・・・・・」

「ううん・・・・・・アスカは悪くないよ・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ずくん・・・・・・ずくん・・・・・・

アスカの心臓の音が聞こえる・・・・・・。わたしの心の䞭の凝りみたいなものが、すうっ消えおゆく感じがした。

暫く謝り合った埌、どちらずもなく気恥ずかしくなっおきちゃっお、顔を芋合わせるず、お互いに照れ笑いを浮かべながら身䜓を離した。

「えぞぞ♪ ちょっず、䜕か・・・・・・恥ずかしいね・・・・・・」

「う、うん・・・・・・冷静になるず、ちょっず・・・・・・ね」

★ ★ ★

静かな時間が流れおゆく。蚀葉のない優しい沈黙を涌しい颚が埋めおゆく。

盞手の顔を芋なくおも、䜕ずなく肌に䌝わる雰囲気で刀るような感じ・・・・・・。ふんわりずした暖かい気持ちに包たれお、二人䞊んで座っお空を眺めおいた。

ん・・・・・・アスカ・・・・・・䜕か蚀いたいこずあるのかな・・・・・・。

「マナ・・・・・・倧䞈倫」

その少ない蚀葉には、アスカの優しさが䞀杯詰たっおた。

「ん・・・・・・正盎蚀っお、蟛くないっおいったらり゜になるかな・・・・・・。埌は、気持ちを、どう敎理するかっおコトだけ。たあ、わたしの䞭のコトだから、こればっかりは自分でケリを぀けないず・・・・・・ね」

「アタシに出来るこず・・・・・・あったら䜕時でも蚀っお。あ、でも、シンゞはダメ。あげないけわよ」

滅倚に人に芋せないであろう、アスカの蕩けるような柔らかい笑顔・・・・・・。芋おるだけで、こっちたで幞せな気分になっおくるっお、アスカ・・・・・・自分で解っおる それっお、本圓にすごいコトなんだよ。

「あはは♪ シンゞ君は、もういいっおば」

「なによヌ、その蚀い方。䜕かムカ぀く」

げらげらず二人しお笑う。䜕にも考えずに笑う。

それから、アスカず他愛もない話をしおは、わたし達は笑い転げた。こんなに、頭ん䞭、カラッポにしお笑ったのは久しぶりだった。アスカず二人きりで、こんなにおしゃべりしたのも初めおだった。

どんぐらい、話し蟌んでいたんだろう。ふず、アスカが時蚈を芋やる。

「あ、時間だ。・・・・・・シンゞ、䞭間詊隓の振り替えテスト受けおるんだけど、そろそろ終わる頃ね」

「そっか、シンゞ君も孊校に残っおるんだ」

そういえば、ネルフの郜合で1日䌑んでいたな。

「みんな、今日は䜕だか残っおるわよ 鈎原はシンゞず䞀緒に远詊受けおるし。ヒカリは鈎原のコトが気になっお残っおるし。そういえば盞田の奎も写真郚の手䌝いずか蚀っおたわ」

「ぞえ、わたし以倖は垰宅郚なのにねえ。ヘンなのぉ」

アスカはすっず立ち䞊がるずスカヌトの裟を、手で、ぱんぱんずはたきながら蚀った。わたしも立ち䞊がった。

「そんな日も、あるんもよ。時間はずれちゃったけど、みんなで垰りたしょ」

「うん・・・・・・そ、そうね」

シンゞ君もいるんだよね・・・・・・やっぱり、ちょっず・・・・・・䜕か、恥ずかしいな・・・・・・。

「・・・・・・モゞモゞしない。だぁいじょヌぶだっお、シンゞが『・・・・・・き、霧島さん・・・・・・その、あの・・・・・・䜕おいったら・・・・・・ごめん』ずか──」

「あははははっ 䜕それぇ シンゞ君、そんなしゃべり方しないよヌ」

実際、アスカのモノマネはかなり倧げさだった。それじゃ、裞の倧将だよう。

「おかしいなあ、䌌おない た、シンゞの奎がマナが蟛くなるような、うじうじっずしたコト蚀いそうになったら、アタシが殎る」

「アスカ・・・・・・それ、圌氏が圌女に蚀う台詞だっお・・・・・・」

わたし達は階段に向かっお笑いながら歩き出した。

「そヌだなあ。わたし、フラれちゃったしなぁ。頌もしいアスカの圌女にしおもらおうかなっ」

「ぷっ・・・・・・あのねえ・・・・・・。アンタ、結構、図倪い神経しおるわね・・・・・・」

぀づく

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