流れる雲と夏の海 #1


これは、随分と昔に"North REVERSE~きたずみの私的書庫~"様に寄稿してエタってしまっていたエヴァンゲリオンの二次創作小説です。中断してしまって、本当に申し訳ありませんでした。

新しい劇場版とかも公開されて設定的に色々と不具合もあるとは思うのですが、旧TV版準拠で生暖かい目で読んで頂ければ幸いです(ノ∀`;)

いちおう、中断した第10話以降も書きたいなあ、と思っています。

不定期に更新します(・ω・`; )

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「・・・・・・その・・・・・・ごめん・・・・・・」

長い沈黙。ヒグラシの鳴き声が沈黙を重くする。

わたしは・・・・・・頭の中が真っ白になっていて、地面がグラグラ揺れているような感じ・・・・・・。

それでも、どこかで冷静な自分が「・・・・・・やっぱりね」とか思っていたり。

「あはっ♪ やだな、シンジ君が落ち込むコトじゃないよぉ」

精一杯、明るく、軽~い感じになるように言ってみる。

笑顔・・・・・・引きつってない・・・・・・よね。

「ごめんね・・・・・・。シンジ君がアスカと付き合ってるの知ってて」

「・・・・・・霧島・・・さん・・・・・・」

「卒業、近いし・・・・・・ケジメをつけときたかんだ。もう、こんなコトしないから」

もう、行こう・・・・・・これ以上・・・・・・わたし・・・・・・

「真剣に返事してくれてありがとうね♪ うん、何かスッキリした」

言葉が早口になっちゃってる・・・・・・。シンジ君・・・・・・気付かないで・・・・・・。だめ、シンジ君の顔・・・・・・まともに見れないよ・・・・・・。

「・・・・・・うん・・・・・・ごめん・・・・・・」

「これからは友達としてヨロシク! じゃ、また明日ね♪」

わたしは踵を帰すとシンジ君から見えなくなるところまで、元気良く走った。

★ ★ ★

角を曲がる。校舎の陰、こっちにはシンジ君は来ないだろう。ふうっ、と気が緩む。緊張の糸が、ぷつりと切れた。ずしっと脚が重くなり、平衡感覚を失ったみたいに地面がグルグル揺れている。胸の奥の方が苦しい・・・・・・。

なんか・・・・・・だるい・・・・・・。

人目に付かない柱の陰に、のろのろと重い体を引きずって、寄りかかる。

「はあ・・・・・・」

タメ息をひとつ。遠くで部活やってる声が聞こえる。・・・・・・何にも考えられないや。

ずるずると崩れるように座り込む。抱え込んだ膝に顔を埋める。

「・・・・・・ぜんぜん・・・・・・スッキリなんて・・・・・・してない・・・・・・よ・・・・・・」

いつもの自分とは全然違う、か細くて弱々しい声だった。

流れる雲と夏の海

── 第1話 ──

西暦2015年。サードインパクトは世界を、ちょっとだけ変えた。それなりの大混乱はあった。LCLに消えたままの人も、まだ沢山いる。

だけど、多くの人は戻ってきた。

1年が過ぎ、世界は復興に向けて動き始めていた。その中心が第三東京市。

★ ★ ★

ホントは学校をサボっちゃおうかとも思った。

でも、それじゃシンジ君に心配かけちゃう。自分の行動の責任は自分で払わなきゃ。思いっきり落ち込んでいるケド、絶対、みんなにバレないように・・・・・・いつものように脳天気に明るくいこう。

ちなみに、わたしは赤木リツコさんのところに居候している。本当は昨日から誰にも会いたくなかったんだけど、そう言うときに限ってネルフで忙しい筈のリツコさんが定時で帰ってきてたりする。

リツコさんも察しのいい人なんで「何かあったな」くらいは気付いているみたいだったけど、詮索するようなこともなく、いつものように自然に接してくれた。

・・・・・・わたしも学校で、ああいう風にできれば、いいんだけどなあ。

そうこうしてる内に3-Aの前まで来ちゃった。ドアの向こうから、クラスメート達の知った声が聞こえてくる。

「・・・・・・よし、いくわよ」

気合いを入れて、小さく呟くと景気良くドアを開ける。

「おっはよ~っ!!」

ま、いつものコトだから、驚いて振り向いたりする人はいない。「おお、賑やかなのが来たか」って感じ。委員長のヒカリがいつものようにニコッと笑いかけて手を振る。鞄を自分の席に置くとヒカリの席に向かう。ちらっとシンジ君の席を見るとまだ、来てないみたいだった。あの二人はいつも時間ぎりぎりだから。

ヒカリの席に行く間も、何人かと挨拶を交わす。

「おっはよ♪ ヒカリ、元気?」

「おはよう、今日は剣道部の朝練はなかったの?」

「三年は、もうすぐ引退だからねえ。あんま、練習ないんだ」

まだ来てない前の席のイスを引くと背もたれを跨いで座る。確か、いつもこのくらいは、してた・・・・・・はず。

「もう、マナったら・・・・・・そんな座り方、はしたないよ」

「えへへ♪ ごめん」

横向きに座り直して、ヒカリの方を向く。あとは、いつものように談笑していると、廊下の方から賑やかな関西弁が聞こえてくる。あっ・・・・・・ヒカリが、ぴくって反応した・・・・・・くくくっ。

「じゃ、わたし、席に戻るね」

「・・・・・・えっ?」

「だって、愛妻弁当、渡すんでしょ。鈴原に♪」

『愛妻』ってところを強調しながら言ってみると、ヒカリは真っ赤になって慌ててる。

「ちょっ・・・・・・ち、違うわよ! これは、余り物だって・・・・・・」

「ま~、ま~、いいから、いいから」

わたしが立ち上がると、ちょうど鈴原と相田の二人が教室に入って来た。

・・・・・・あれ、シンジ君とアスカがいない・・・・・・?

「おはようさん」「おはよう」

鈴原と相田が声を掛けてくる。あれ、いつも四人でくるのに、どうしたんだろう?

・・・・・・やっぱり、昨日、わたしがシンジ君にあんなコト言ったから・・・・・・

「お、お、おはよう・・・・・・鈴原」「おっはよ! お二人さん♪」

・・・・・・ヒカリ・・・・・・相田、忘れている・・・・・・

「・・・・・・あ! アスカ達はどうしたの?」

「時間になっても来けえへんから、先、来てもうた」

話をしてる二人を通り抜けて相田は挨拶を済ますと、さっさと自分の席に行ってしまう。

・・・・・・そういえばいつも、この時間──いつもヒカリが鈴原にお弁当を渡す──相田は離れたところにいる・・・・・・意外と気を遣ってるのかな・・・・・・?

ヒカリと鈴原がお約束のラブコメをしてるのを横目に、そんなコトを考えながら自分の席に戻った。いつも、シンジ君にまとわりついてたから・・・・・・。そんなことも気付かなかったのかもしれない。

ふと、相田の方を見てみる・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・『最新型超高画素カメラの威力は、どうかな?・・・・・・くっくっくっ』とか言ってそそくさと鞄からデジカメを取り出すと、わたしの幾つか前に座っているレイにレンズを向けてる・・・・・・。

訂正。やっぱり、只のカメラ小僧。ちょっとでも見直しかけた自分が情けないよ。

・・・・・・そのレイの方を、今度は見てみる。わたしの席、窓際の後ろの方だからクラスの全体が眺められるのね。カヲル君が、まとわりついてるのも、いつものこと。たぶん、会話はカヲル君が一方的に話しててレイは無視してるだけなんだろうけど・・・・・・。

・・・・・・リツコさんの話だと、あの二人がサードインパクトに大きく関わったみたいなんだけど・・・・・・『今では、二人とも只の人なんだから、仲良くしてあげて』とか言ってた。

浮世離れした美男美女だから、相田の被写体にはもってこいなのかもねえ。

お、もうすぐ予鈴だ・・・・・・1時限目はHRなんだけど。ホントにシンジ君とアスカったら、何やってんだろう?

「ああっ、もおっ! もっと、キリキリ走りなさいよ。危なく遅刻するとこだったじゃない!」

「そんなこと言ったって・・・・・・アスカが・・・・・・」

・・・・・・と慌てて駆け込んできた二人は教壇の前で、言い合いを始めようとしている。まあ、いつものこと・・・・・・。

そんな、ところで担任の先生が教室に入ってきた。

「はい、はい。席について~。惣流さんも碇君も席に着いて」

ちょっと、鼻息の荒いアスカはどすどす歩いて行くと席に着く。それでも可愛く見えちゃうんだからズルいよなあ・・・・・・。

シンジ君がレイのところに寄ってお弁当を渡してる。

「朝・・・・・・渡せなくって、ごめんね・・・・・・レイ」

「問題ないわ・・・・・・ありがとう・・・・・・お、お、おに、おに・・・・・・」